「健診でLDLが高いって言われたけど、体はなんともないから放っておいてました」外来でこのようなことをよくお聞きします。脂質異常症(高コレステロール血症・高トリグリセリド血症)は、自覚症状がほぼゼロです。頭痛もなく、胸痛もなく、血液検査の数字が少し高いだけ。それが10年、20年続いても、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞という形で現れます。問題は「数値が高い」こと自体ではなく、その間に血管の中で何が起きているかを誰にも診てもらっていないことです。

周船寺駅前にある「まつおクリニック」では、血液検査の数値確認にとどまらず、ABI検査(血管年齢測定)と心臓超音波検査(心エコー)などで、現在の血管・心臓の状態を直接評価します。この記事では「血管の中で実際に何が起きているのか」を丁寧に解説しながら、なぜ数値だけでなく検査が必要なのかをお伝えします。

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LDLコレステロールが高いと起きること

LDLコレステロールが高いと起きることを説明している看護師

LDLコレステロールは、それ自体が毒なわけではありません。本来は全身の細胞にコレステロールを運ぶ大切な役割を担っています。問題が起きるのは、血液中のLDLが増えすぎたときです。

LDLが血管壁に侵入する

血管の内側は「血管内皮細胞」という一層の細胞で覆われています。健康な内皮は滑らかで、血液成分が入り込みにくい構造をしています。しかし高血圧・喫煙・高血糖・慢性炎症などがあると内皮が傷つき、LDLが血管壁の内側(内膜)へ侵入しやすくなります。

LDLが「酸化LDL」に変わり、炎症が始まる

内膜に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化変性し「酸化LDL」に変わります。これは免疫系にとって「異物」と認識されます。すると血管壁にマクロファージ(免疫細胞)が集まり、酸化LDLを貪食し始めます。

「泡沫細胞」が蓄積してプラークができる

酸化LDLを食べたマクロファージは、脂質を吸収しすぎて「泡沫細胞」と呼ばれる変性細胞になります。泡沫細胞が内膜に蓄積すると、内側から盛り上がった「プラーク(粥腫)」が形成されます。プラークは徐々に大きくなり、血管の内腔を狭めていきます。これが「動脈硬化」の実態です。

プラーク破裂が最も危険

プラークには「安定型」と「不安定型」があります。安定型は石灰化が進んで硬くなったプラークで、血管を狭めますが急激な破裂は起きにくい。一方、不安定型プラークは内部に軟らかい脂質コアを持ち、覆っている線維性被膜が薄いため、ちょっとした刺激で破裂します。

プラークが破裂すると、血液凝固系が一気に活性化され、血栓(血のかたまり)が形成されます。この血栓が冠動脈を完全に塞いだとき、急性心筋梗塞が起きます。怖いのは、「不安定型プラーク」は画像でも見えにくく、症状もないまま破裂することです。LDLが「少し高め(140〜160mg/dL台)」程度であっても、長期間放置されていれば不安定プラークが形成されている可能性があります。

動脈硬化の怖さは「血管が狭くなること」ではなく「プラークが突然破裂すること」にあります。症状がないこと=プラークがないことではないのです。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「LDLコレステロール」
参考:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」

中性脂肪(トリグリセリド)が高いと起きること

「コレステロールじゃなくて中性脂肪が高い」という方も少なくありません。中性脂肪が上がる主な原因は、糖質・アルコールの過剰摂取です。

中性脂肪が高い状態が続くと、通常のLDL(悪玉コレステロール)よりも小さく重い粒子である「small dense LDL(小型高密度LDL)」が増加します。これは「超悪玉コレステロール」とも呼ばれています。small dense LDLは血管壁に入り込みやすく、酸化されやすいため、通常のLDLより動脈硬化を進めやすいことがわかっています。通常の血液検査では「LDL正常」と出ていても、中性脂肪が高い場合は実際のリスクが過小評価されている可能性があるのです。

また、中性脂肪が著しく高い場合(500mg/dL以上)には急性膵炎のリスクも上昇します。これはコレステロールとは全く異なる経路で起きる緊急疾患であり、見落としてはならない合併症のひとつです。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」

脂質異常症の方がするべき検査

脂質異常症の治療方針は、単にコレステロールの数値を下げることだけではありません。本当に大切なのは、心筋梗塞や心不全、脳梗塞などの重大な病気を未然に防ぐことです。まつおクリニックでは血液検査だけでなく、以下の検査を院内で行い、実際に血管・心臓がどのダメージを受けているかを総合的に評価しながら治療方針を考えています。

ABI検査(血管年齢):動脈硬化の「進行度」を数値化する

血圧測定のイメージ

ABI(Ankle-Brachial Index)は、両腕と両足首の血圧を同時に測定し、その比率(足首の血圧 ÷ 腕の血圧)を計算する検査です。簡単にいうと、足の血管が詰まっていないかを血圧でチェックする検査です。
検査はベッドに横になった状態で行い、痛みはなく10〜15分程度で終わる簡単な検査です。

正常な血管では、足首の血圧は腕の血圧と同じか、やや高い値になります。
しかし動脈硬化が進むと、足の動脈が狭くなり、足首の血圧が低くなってABIの値が下がります。

ABIの目安

  • ABI値 1.0〜1.4:正常範囲
  • ABI値 0.91〜0.99:境界域(経過観察)
  • ABI値 0.9未満:末梢動脈疾患(PAD)の疑い
  • ABI値 1.4超:血管の石灰化(血管が硬くなっている可能性)

特にABIが0.9未満の場合は、足の血管だけでなく、心臓の血管(冠動脈)や首の血管(頸動脈)にも動脈硬化が広がっている可能性が高いとされています。つまりABI検査は、足の血流を調べる検査であると同時に、全身の動脈硬化の進行を確認する重要な検査でもあります。

血管年齢(baPWV)

ABI検査では、同時にbaPWV(脈波伝播速度)という指標も測定します。
これは血管の硬さを評価する検査で、血管が硬くなるほど数値が高くなります。
PWVが高い場合は、血管の弾力が失われており、「血管年齢が高い」状態を意味します。
実年齢より10〜20歳以上血管年齢が高い場合は、動脈硬化が進み始めている可能性があり、
生活習慣の改善や治療開始を検討する重要なサインになります。

参考:日本循環器学会「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン2022年改訂版」

心臓超音波検査(心エコー)

心エコーのイメージ

心エコーは超音波を使って心臓の動きや構造を観察する検査で、痛みはなく身体への負担もほとんどありません。この検査により、心臓のわずかな変化や将来の心血管リスクの兆候を早期に発見することができます。

心臓の動き(壁運動)の評価

心臓の筋肉(心筋)は、冠動脈という血管から血液を受け取って動いています。
脂質異常症によって動脈硬化が進み、冠動脈の血流が低下すると、心筋の一部の動きが弱くなったり止まったりすることがあります。これを局所壁運動異常といいます。
この変化は、胸の痛みなどの症状が出る前の段階でも心エコーで確認できる場合があります。

左室肥大・拡張機能の評価

高血圧と脂質異常症が続くと、心臓は強い力で血液を送り出そうとするため、心臓の壁が厚くなる「左室肥大」が起こることがあります。さらに進むと、心臓の筋肉が硬くなり、血液をうまく受け入れられなくなる拡張障害が生じます。これは心不全の初期段階ともいわれますが、血液検査だけでは見つかりにくい変化です。心エコーでは、こうした心臓の構造や機能の変化を早い段階で確認することができます。

弁膜症の確認

動脈硬化が進むと、血管だけでなく心臓の弁(大動脈弁・僧帽弁など)にも影響が出ることがあります。
弁が硬くなったり、血液が逆流する弁膜症が起こることもあるため、心エコーで弁の状態も丁寧に確認します。これにより、将来の心臓病リスクをより正確に評価することができます。

まつおクリニックの「伴走型」診療

まつおクリニックでは、検査結果をお伝えするだけでなく、現在のお身体の状態をしっかり把握したうえで、「これからどう改善していくか」という治療プランを患者様と一緒に考えることを大切にしています。患者様がどのような生活環境で過ごされているのか、たとえば外食が多いのか、自炊が中心なのか、学生さんなのか、お仕事が忙しいのか、そうした背景まで丁寧にお伺いし、その方の立場やご予算に合わせた、無理のない最適な治療や食事方法をご提案します。
単に数値だけを見てお薬を処方するのではなく、予防できることはできるだけ予防し、将来的には通院やお薬を減らしていけるようにすることを目指して、日々診療にあたっています。

脂質異常症の方におすすめの食事

脂質異常症の改善には、薬だけでなく毎日の食事がとても重要です。少しの工夫を続けることで、コレステロールや中性脂肪の数値は改善していきます。

コレステロール(LDL)を下げる食事

① 脂の多い食べ物を控える

肉の脂身、バター、生クリーム、ラードなどの「飽和脂肪酸」は、悪玉コレステロール(LDL)を上げやすい食品です。脂身の少ない肉や魚を選ぶなど、脂のとり過ぎに注意しましょう。

② 食物繊維をしっかりとる

食物繊維には、体内のコレステロールを減らす働きがあります。特に次のような食品がおすすめです。
オートミール、大麦、海藻、きのこ、野菜

③ 大豆やナッツを取り入れる

大豆製品(豆腐・納豆など)やナッツには、コレステロールの吸収を抑える成分が含まれています。

④ トランス脂肪酸を避ける

菓子パン、マーガリン、揚げ物などに含まれる「トランス脂肪酸」は、
悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすため注意が必要です。

中性脂肪を下げるポイント

① 糖質のとりすぎに注意する

白米、麺類、甘い飲み物、お菓子などをとり過ぎると、中性脂肪が増えやすくなります。

② アルコールを控える

お酒は中性脂肪を上げやすいため、週に2日ほど休肝日をつくることがおすすめです。

③ 青魚を食べる

さば、さんま、いわし、ぶりなどの青魚に含まれるEPA・DHAには、中性脂肪を下げる働きがあります。

外食・コンビニ中心の方へ

「自炊する時間がない」という方でも、食事の選び方で改善は可能です。
例えば次のような工夫があります。

  • 定食では揚げ物より焼き魚や煮魚を選ぶ
  • 野菜を先に食べる
  • 揚げ物は衣を少し減らす
  • 汁物は飲みすぎない

このような小さな工夫を続けることが、コレステロールや中性脂肪の改善につながります。
当院では、患者様の生活スタイルやご予算に合わせて、無理なく続けられる食事の方法を一緒に考えていきます。

まとめ

まつおクリニックの内装

脂質異常症は自覚症状がないまま、血管の内側でLDL酸化→泡沫細胞形成→プラーク蓄積→破裂という連鎖を静かに進めます。「体がつらくないから大丈夫」は、残念ながら根拠になりません。

まつおクリニックでは:

  • 血液検査でLDL・中性脂肪・HDL・non-HDLコレステロールを総合評価
  • ABI検査で動脈硬化の進行度と血管年齢を数値化
  • 心エコーで心臓の壁運動・拡張能・弁膜症を循環器専門医が評価
  • 心電図・胸部エックス線で虚血性変化・心拡大の有無を確認

これらを組み合わせ、今の血管・心臓の状態を総合的に診ます。そのうえで医師が患者様の生活背景に合わせた、無理のない改善プランをご提案します。

健診結果票をお持ちのまま、ぜひ一度、日本内科学会認定内科医・日本循環器学会認定専門医・日本医師会認定産業医が在籍する、まつおクリニックにご来院ください。「数値がちょっと高いだけ」が「ちょっとではなかった」とわかることも、「思ったより大丈夫だった」と安心できることも、どちらも診察で初めてわかることです。

まつおクリニックは周船寺の駅前にあるため、脂質異常症(高コレステロール血症・高トリグリセリド血症)の治療を受けに、九大学研都市・今宿エリアを中心に、糸島市(波多江)や姪浜方面からもお通いいただいています。筑肥線沿線の方だけでなく、敷地内に駐車場もあるため、お車でお通いの方もいらっしゃいます。

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このページの監修医

松尾 慶子医師

松尾 慶子 (日本内科学会認定内科医・日本循環器学会認定専門医・日本医師会認定産業医)

▼ドクターズファイルの取材記事▼

ドクターズファイル

経歴・専門医等
  • 昭和63年 久留米大学医学部卒業
  • 昭和63年 福岡大学医学部第二内科入局
  • 平成3年 福岡大学医学部第二内科循環器内科
  • 以降 福西会 川浪病院 福岡歯科大学内科、福岡大学筑紫病院第一内科等を経て現在に至る
  • 【資格】 日本内科学会認定内科医・日本循環器学会認定専門医・日本医師会認定産業医